フランスの教育制度
Système de l'éducation en France
フランスの教育制度
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「フランスの大学に留学したい!」「フランスの専門学校に留学したい!」「フランスで通用する資格を取りたい!」など、フランスの高等教育機関に入学・編入しその後のキャリアに生かそうという夢を持っている方へ、ここではフランスの教育制度を分かりやすく解説していきます。フランスの教育制度、学校の種類、取得可能な資格の種類などをマスターすることでフランス高等教育機関留学への対策が立てやすくなるはずです!
フランスのバカロレアって?
バカロレアとは簡単に言うと「高校卒業証明書」のようなものです。口語では略して「BAC(バック)」と呼ばれます。フランスでは中等教育終了後、「BEPC」と呼ばれる中等教育修了の証明証が渡されます。その後学生は日本で言う「高校」に進学するのですが、フランスでは「Lycée(リセ)」と呼ばれます。このリセには3つの種類があります。勉強内容 | ||
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Lysée général | 普通教育課程 | 大学進学を目指す |
Lysée technologique | 工業高校 | 工業の専門的な知識を身に着ける |
Lysée professionnel | 職業高校 | パンや製菓などの専門知識を身に着ける |
それぞれの高校を卒業する前に、バカロレアを取得するための試験を受けます。見事合格するとそれぞれの高校の種類沿ったバカロレアが授与されます。
Baccalauréat Général (BacGe) | 普通バカロレア |
---|---|
Baccalauréat Technologique (BacT) | 工業バカロレア |
Baccalauréat Professionnel (BacP) | 職業バカロレア |
バカロレアは大学に進学するためには絶対必要な条件です。従って、フランスの高校生で大学進学を考えている生徒はとにかくこのバカロレア取得に向けて必死に勉強します。
職業高校では職業バカロレアの他に、CAP・BEPと呼ばれる職業国家資格の国家試験を受け資格を取得することもできます。
●職業適格証 CAP 料理や工芸品など、職人業に関するもの
●職業教育免状 BEP 経理や秘書などの事務職
CAP・BEPは職業能力レベルとしてはバカロレア取得者よりも1つ下のレベルとして位置づけられています。このフランスではこのCAP・BEPレベルが雇用される最低限度の資格とされています。世界的に有名な高級チョコレート職人、ジャン・ポール・エヴァンやイヴ・チュリエスなどもCAPの保持者です。
国際バカロレアとの違い
フランスのバカロレアと国際バカロレア異なるものです。国際バカロレアとは、「世界で認められている高校卒業証明書」のようなもので、国際バカロレア委員会の本部はスイスのジュネーブにあります。例えば、日本でもいくつかのインターナショナルスクールは国際バカロレア委員会に認定されており、それらの学校では課程を修了した者に国際バカロレアを発行しています。この国際バカロレアでもって海外でも大学入学権利を取得できるのです。この国際バカロレアですが、フランスでは正式に認められていません。国によって認められている公的な高校卒業資格、例えば、日本でいうなら一般的な公立高校の卒業証明などですが、そういった高校卒業資格を持っていたとしてもフランスの大学やその他高等教育機関に入学できないという国もあります(日本もその1つです。)。例えば、その国の教育制度や教育水準上、「高校卒業資格」を持っていてもそれはフランスの教育水準でみた高校卒業レベルには値しないとみなされている国です。そのような国もある中、「民間団体の公的でない高校卒業資格」を認めるわけにいかない、という考え方です。従って、国籍がフランス人であろうとも「フランスのバカロレア」を所持していないフランス人は、例え「国際バカロレア」を取得していても大学などの高等教育機関への認められない場合があるということです。実際には、大学進学においてはそれほど拒否されているわけではありませんが、やはりハイレベルな大学やグラン・ゼコール(エリート養成学校)になると難しいようです。フランス以外の国では採用されているところもたくさんあります。
ベルギー | 大学の入学資格として全面的に認められています。 |
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カナダ | カナダの国としては認めていませんが、多くの大学が認可しています。 |
スイス | 大学へ入学するにはハイレベルな基準の点数を取らなければなりません。 |
フランスの大学 Université
現在、フランスの公立大学は83大学あり様々な分野での研究を可能にしています。日本のセンター試験、大学入学2次試験のような入学試験はフランスの大学には存在せず、入学条件は「バカロレア」のみです(医学部は例外的に試験がある)。カリキュラムは下記のようになっています。●学士 Licence(リサンス)3年
●修士 Master(マスター)2年
●博士 Doctorat(ドクトラ)3年
「入学試験がないのに、どうやってその大学のレベルをはかるのか?」と思われるかもしれませんが、フランスにも大学ランキングというのは存在します。が、その基準は日本とは全くことなります。2013年にフランス高等教育研究省は発表したフランス大学ランキングでは、「どのくらいの生徒がもともと定められている期間内に各課程を修了できたか」を基準にランキングが付けられました。つまり、
「実際に、学士課程を3年で修了できた生徒数のパーセンテージ」と、「フランス教育省がその大学のカリキュラム等から判断して見積もられた「学士課程を3年で修了できるであろう生徒数のパーセンテージ」の差を基準にしています。他には「就職率」などのランキングもあり、フランスの大学のレベルは日本のように「東大が1番、京大が2番」とははっきり分かりません。また、希望の大学に入学したものの「単位が取れない」、「進級できない」などは日常茶飯事で、教育省の調べによると、大学の学士課程に入学した学生で規定の3年間で課程を修了できる学生はたったの27%、1年留年して修了するものが12%、残り59%は4年以上かかって修了するものか退学するものという結果が出ました。入学試験がなく、バカロレアを持っていればどの大学にも入学できるというメリットの後には、課程を修了するためには相当な勉強量が必要で半分以上の学生が時間をかけて卒業する、もしくは途中であきらめるのです。
グラン・ゼコールとクラス・プレパラトワール
グラン・ゼコールとはフランス特有の高等専門学校のことで、将来はフランスの政治・軍事・教育などあらゆる分野での管史、官僚、国を動かすような公務員を育成するための「エリート養成学校」です。このグラン・ゼコールに入学するためには超難関の試験に合格しなければなりません。グラン・ゼコール試験突破のためにバカロレア取得後、設けられているのがクラス・プレパラトワールです。このクラスは主に、私立のハイレベルな高校に付属されており、高校在学中の成績とバカロレアの結果によってクラス・プレパラトラールに入ることができるか選考されます。グラン・ゼコールに入学するためにはこのクラスで高校卒業後2年間学ばなければなりません。この2年間の後は大学学士1年目同等資格の「大学一期免状(DUEG)」を取得することができ、グラン・ゼコールではなく大学進学に進路変更したい場合は大学学士の2年生から編入することができます。グラン・ゼコールは国の各省が監督で教育が行われています。経営学分野、軍事分野、政治分野、芸術分野など様々分野があり一部のグラン・ゼコールでは難関試験を突破した留学生も受け入れています。現在のフランスの政治を動かす政治家はそのほとんどがENA(エナ)と呼ばれる政治分野のグラン・ゼコールを卒業しています。国の政治にかかわるエリート養成ももちろん目的ですが、多くのグラン・ゼコールがフランス、もしくは世界の大企業との繋がりがあるため生徒の将来はほぼ保障されているといってもよいくらいです。フランス国内では大学よりも位が高い存在として認識されており、グラン・ゼコールの学生のほとんどが一般的に言う「裕福な上流階級の家柄」です。グラン・ゼコールの学費はとても高いため、裕福な家庭にしか支払えないという現実もあります。
◇有名なグラン・ゼコール
国立行政学院 | ENA; École nationale d’administration |
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フランス国立司法学院 | École Nationale de la Magistrature |
エコール・ノルマル・シュペリウール | École normale supérieure |
エコール・ポリテクニーク | École polytechnique |
国立古文書学校 | École nationale des chartes |
国立高等学校アール.エ.メチエ | École nationale supérieure des Arts et Metiers |
HEC経営大学院 | HEC; École des hautes études commerciales |
パリ高等商業学校 | ESCP-EAP;École Superieure de Commerce de Paris |
高等商業学校 | ESSEC; École Superieure des Sciences Economiques et Commercials |
リヨン経営学大学院 | EMLYON Business School |
パリ政治学院 | Science-po; Institut d’études politique de Paris |
中央学校 | EC; École centrale (Paris, Lille, Lyon, Nantes, Marseille |
パリ国立高等鉱業学校 | École nationale supérieure des Mines de Paris |
高等電気学校 | Supélec, École supérieure d’électricité |
国立土木学校 | École nationale des ponts et chaussées |
国立応用科学院 | INSA; Institut National des Sciences Appliquées |
国立高等情報通信学校 | Télécom Paris, École nationale supérieure des télécommunications |
国立高等農学院 | Établissement National d’Enseignement Supérieur Agronomique |
工業物理化学高等学校 | École Supérieure de Physique et de Chimie Industrielles |
サン=シール・コエトキダン陸軍士官学校 | Écoles militaires de Saint-Cyr Coëtquidan |
海軍士官学校 | École navale |
空軍士官学校 | École de l’air |
高等職業学校
日本でいう専門学校のようなものです。芸術、医師以外の医療部門、 福祉関係、メディアなどの分野の教育は、高等職業学校で行われます。高等職業学校への入学は、バカロレアと補足的な選考(試験または書類審査)によって決められます。短期課程
日本で言う、技術短大や2年生の技術専門学校のような教育機関です。バカロレア取得後2年間の短期間で上級技術者免状(BTS)、技術短大免状(DUT)を取得します。BTSの2年間のコースは高校に併設されており、DUTは工業技術短期大学に併設されています。2年間の短期間で、仕事で実用できるような技術知識をつけることができるということで一般化してきています。しかし実際には、短大でDUTを取得した学生が大学編入を希望する場合大学の2年目から編入できるという利点もあり、DUTを取得した学生の80%は普通大学に編入しています。フランスの職業レベルと対応資格
フランスでは一定の資格(レベル)を持つ人に一定水準の賃金保証をする動きが強く、最低でも高校卒業程度の職業能力のある資格を持っていなければ正規雇用されるのは難しいといわれています。こちらは日本でも同じですね。職業能力の基準は4段階にレベル分けられ、そのレベルはそれぞれの資格に対応しています。職業能力 | 技能レベル | 学校教育レベルと資格 |
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職業能力ⅠまたはⅡ | ・グラン・ゼコールの免状等を所有しているもの ・大学の学士・修士・博士等の免状などを所有しているもの |
博士 高等教育専門研究免状(DESS) 修士 学士 |
職業能力Ⅲ | ・バカロレア取得後、2年間の高等教育をおさめ所要の免状を取得しているもの | 大学一期免状(DUEG) 上級技術者免状(BTS) 技術短大免状(DUT) |
職業能力Ⅳ | ・バカロレアを取得したもの | 普通バカロレア(BacGe) 技術バカロレア(BacT) 職業バカロレア(BacP) |
職業能力Ⅴ | ・職業リセを修了し所要の免状を取得しているもの | 職業適格証(CAP) 職業教育免状(BEP) |
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